むかーしむかし、王子さまは、とても綺麗なお姫様に一目ぼれをしました。
でも、そのお姫様は名前も告げず、ガラスの靴だけを残して帰ってしまいました。
王子さまは、その靴を手掛かりに、ひとめぼれした綺麗なお姫様を探すのでした。
・・・今の世の中に生きるわたくしはですね
靴のサイズがあらかじめ決まっていて、そのサイズの中から自分の履ける靴を選ぶ。
というものだと思っていましたので、小さいころは
「この王子、靴が履けるお嫁さん候補たくさん出てきて困るだろうなー」
とか思ってました。夢のないおこちゃま・・・。
が、それを友達に話したら
「魔法で作った靴だから、シンデレラの足にしか合わないんだよ!」
と言われ、素直に納得しました。
そうだよねー。魔法だもんねー。
わたしも友達も、『王子さまは「シンデレラ」という人にもう一度会いたい』ために
唯一残されたガラスの靴を手掛かりにして探しているのだと思ったわけです。
今なら、たった一人の、一目惚れした女性を見つける手がかりがそれだけってのも
王子の立場なのにどうなのよ?とは思いますが。
それから、数年たち、わたしは専門学校に通い始めました。
絵本文学創作科という、絵も文章も学びたいわ!という欲張りはワタシにぴったりの学科でした。
その頃でしたか、そのあとぐらいでしたか
「大人のグリム童話」って感じの、はやりませんでした?
学校の授業に使うのに、原作と言われるものを探してたらあったんですね。
白雪姫に毒リンゴ食べさせたのは、実の母親であるとか
千匹皮のお姫様は実の父と結婚させられそうになったとか
(これは性的描写を省かなかっただけで、元のストーリーはさほど変わりませんが)そんなやつです。
その中の、シンデレラ。
シンデレラの継母の連れ子のいじわるおねーさんは
王子の家来がやってきたときに
小さくてどうしても入らないガラスの靴に合わせ、
「自分の足を切り落としてしまう」という暴挙に出ます。
お妃になったらもう歩かなくていいんだから!
(って、実はシンデレラがそそのかしてたり)
で、足を切り落として、無理やり小さな靴を履けるようにしたお姉さまですが
婚礼の途中で、全部見ていたハトが王子様に告げ口をするんですね。
とうぜん、王子さまは怒って、お姉さまをお嫁さんにするのをやめるわけですが。
なんで、わからないんですかね?
いくら靴が入ったって言っても、顔違うやん?
切り落としたら靴も真っ赤でしょうに。
ガラスでも赤いの見えるだろうし、原作の靴でも赤に染まるよ!?
(もとのお話しはガラスの靴ではなく、白テンの毛皮の靴らしいです)
王子様って、アホなん??
と思っていたそんなある日。
ネットだったかどこかで、
「王子様は、小さな足のフェチ」というような記事を読んだのです。
「落としていった靴のサイズだけで人を探して
その靴が入れば、顔や性格がどんなであれ、結婚までするってのは、足にしか興味がなかった」
と、それは極端なものいいかもしれませんが、
でも、 そうだったのかも?? とか思っちゃったよね。
童話に細かいこと言うのがおかしいんだけど
靴以外に、髪と瞳は何色で、身長がどれくらいで、こんな顔してて~って探す条件なかったよね!
継母の連れ子であるお姉さんが、同じ顔はしていないだろうし
もしかしたら髪の色も目の色も違うかもしれないし。
まして、足を切り落とさないと入らないていうくらいだから、いろんな意味でサイズも違ったろうに…。
本当は、「シンデレラ」本人じゃなくて
その、「残された靴がぴったりなくらい、足の小さい人」を探してただけ。
その象徴がシンデレラだっただけ。
王子様、なにを求めてたんでしょうね?
一つの条件だけにこだわって、お嫁さんを探し求めて
出てきたのが、その条件だけが一致する他の人で。
告げ口するハトがいなきゃそのまま結婚してたんじゃない?
王子様が本当に求めてたのが、小さい足の人だったとしても
このお話の場合、やってきたのは足を切り落として小さくした人なわけで
やっぱり、条件にあわないってなるよねー。
願望を叶える方法のひとつに、ゴールだけを設定して、細かいことは気にしない!
という、カーナビの設定をするようなものがあります。
道を指定せず、どの道を通ってもいいから、このゴールまで導いてくれって感じです。
どの道でもいいけど、ゴールには、これが揃ってないとだめっていう設定です。
王子さまは、ゴールだけ決めて細かいこと考えない人なのかもしれないけど
たとえ、足フェチで足の小さい人を探していたとしても
美しいシンデレラが忘れられなくて、シンデレラを探していたにしても
そのゴールの設定が甘かったんじゃないかなー。
王子さま(自分)は、「ガラスの靴」を残していったシンデレラを探させた。
従者たち(潜在意識)は、王子の探す娘は「ガラスの靴」の合う人だと思って探した。
王子さまはシンデレラを実際に見ていますので、ガラスの靴=シンデレラ(探している娘)のつもりで
「この靴に足の合う娘を探して来い」という指示をだしているのでしょうけども
従者たちは見ていませんから、靴に足が入れば、それがシンデレラなのかどうかは
どうでもいいんですよね。
本当にこの人かな?とまで考えることまでしなくていいんですよね。
王子の望みは、実際に探しに行く人間にまで、ちゃんと届いていなかったということです。
もし、王子が
「こんな色の髪で、こんな感じの肌で、何色の目で、くちびるはこんな感じで、
身長がこれくらいで、体格はこんな感じで、こんな感じの声をしてて・・・・
そのうえで、このガラスの靴の履ける娘を探して来い」
と言っていたならば、途中でおねーさんに引っかかることなく
もっと早くにシンデレラを見つけられていたかもしれません。
このお話の王子さまは、すべてを見ていたハトに助けられましたが
もし、ハトのチクリがなければ、おねーさんと結婚してしまった後に
【望んでいたのはこの人ではない】という、真実がわかっていたかもしれません。
最後にはシンデレラが手に入ったから
このお話の王子さまは幸せなのかもしれないけどねー。
自分の中で何を求めているのかを再認識するって、すごく大事。
自分の中で ○○=△△ てなってたとしても、本当にそれでいいのか
望みを叶えるのに、十分な情報が入って認識されているのかを考えるのは、とっても大事。
いつも、引き寄せがいいところまで行くのに、詰めが甘いって人は王子様と同じところあるのかも。
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